「Aちゃんの家に泊まりに行ってくるね」 それが嘘であることはすぐに分かった。 彼女は嘘が下手である。 僕は何か分からないけど、彼女の雰囲気の違いに敏感に気付いてしまう。 もっと鈍感だったらいいのに、とよく思う。 ぼくは裏づけを取る作業に入る。 そ…
彼女は言った。 「私たちはずっと変わらなそうだよね」 「私は何があってもあなたの味方だよ」
彼女は年齢よりも若く見える。 僕も年齢よりも若く見える。 彼女は、僕のことをもしかしたら年下かも、と思っていた。 サングラスをしていた印象とは違い、 ふわふわした話し方の、話しやすい子だった。 旅先での予定なんかを話していると 共通なこともあっ…
雑魚寝の船室でちょっとごろごろしてただろうか。 夕暮れ、海に沈む夕日が見られると思い再び甲板へ。 雨は上がっていた。 夕日を見る人で甲板はそこそこいっぱい。 雲に隠れて、しっかりした夕日は見られなかった。 それでも、全く何も無い海に沈む太陽はき…
出航してから約3時間、 まだ遠くに房総半島が見えている。 船って意外と遅いんだなぁ。 それとも房総半島が長いのか… それでもしばらくすると陸地も見えなくなり、すっかり太平洋。 海は怖いくらいに真っ青で、 甲板は旅の始まり、船の新鮮さに喜ぶ人たち。 …