2014年 発端

「Aちゃんの家に泊まりに行ってくるね」 それが嘘であることはすぐに分かった。 彼女は嘘が下手である。 僕は何か分からないけど、彼女の雰囲気の違いに敏感に気付いてしまう。 もっと鈍感だったらいいのに、とよく思う。 ぼくは裏づけを取る作業に入る。 そ…

2013年

彼女は言った。 「私たちはずっと変わらなそうだよね」 「私は何があってもあなたの味方だよ」

出会い

彼女は年齢よりも若く見える。 僕も年齢よりも若く見える。 彼女は、僕のことをもしかしたら年下かも、と思っていた。 サングラスをしていた印象とは違い、 ふわふわした話し方の、話しやすい子だった。 旅先での予定なんかを話していると 共通なこともあっ…

チャンスの神様

雑魚寝の船室でちょっとごろごろしてただろうか。 夕暮れ、海に沈む夕日が見られると思い再び甲板へ。 雨は上がっていた。 夕日を見る人で甲板はそこそこいっぱい。 雲に隠れて、しっかりした夕日は見られなかった。 それでも、全く何も無い海に沈む太陽はき…

認識

出航してから約3時間、 まだ遠くに房総半島が見えている。 船って意外と遅いんだなぁ。 それとも房総半島が長いのか… それでもしばらくすると陸地も見えなくなり、すっかり太平洋。 海は怖いくらいに真っ青で、 甲板は旅の始まり、船の新鮮さに喜ぶ人たち。 …