出会い

彼女は年齢よりも若く見える。

僕も年齢よりも若く見える。

彼女は、僕のことをもしかしたら年下かも、と思っていた。

 

サングラスをしていた印象とは違い、

ふわふわした話し方の、話しやすい子だった。

 

旅先での予定なんかを話していると

共通なこともあったりした。

時間があれば、一緒にご飯を食べようとか

ツアーに参加しようとか、話した。

 

 

この旅で、僕は一人。

旅先が、一人旅の人が多いことは知っていた。

彼女もその話をしていた。

そんな出会いを多少は期待していた。

というか、期待していた。

 

ゲストハウスみたいなところに泊まって、

他の人と交流することも考えた。

そうすれば確実に何人かとは話すことができ、

一緒に観光したり、知り合いになることができる。

もしかしたら旅が終わっても付き合える友達ができるかもしれない。

 

でも僕は一人部屋の宿を取った。

ゲストハウスのめんどくささも知っている。

無駄にテンションの高い旅人、

なんでも知ったような態度の長期滞在者、

我が物顔の常連たちと僕が気が合わないことは容易に想像できる。

そこを乗り越える気はしなかった。

 

僕はゲストハウスを選べなかった。

それにより、旅の期間中、

深く人と交流することが起こらないことも予想してた。

 

 

それが覆りそうな予感がした。

こんなにも早く。

 

彼女は派手なネイルをしていた。