2014年 発端

「Aちゃんの家に泊まりに行ってくるね」

 

それが嘘であることはすぐに分かった。

彼女は嘘が下手である。

 

僕は何か分からないけど、彼女の雰囲気の違いに敏感に気付いてしまう。

もっと鈍感だったらいいのに、とよく思う。

 

 

ぼくは裏づけを取る作業に入る。

そしてそれは、状況証拠として固まり始める。

 

 

それとなく、

彼女にも僕の雰囲気の違いが分かるように、

明らかにいつもと違うように、言う。

「今日泊まらずに帰ってきてもいいんだよ」

「ご飯の心配なんかしてないよ」

 

彼女は出かけていった。

僕は仕事へ行った。