2016-09-22 2014年 発端 episode1 「Aちゃんの家に泊まりに行ってくるね」 それが嘘であることはすぐに分かった。 彼女は嘘が下手である。 僕は何か分からないけど、彼女の雰囲気の違いに敏感に気付いてしまう。 もっと鈍感だったらいいのに、とよく思う。 ぼくは裏づけを取る作業に入る。 そしてそれは、状況証拠として固まり始める。 それとなく、 彼女にも僕の雰囲気の違いが分かるように、 明らかにいつもと違うように、言う。 「今日泊まらずに帰ってきてもいいんだよ」 「ご飯の心配なんかしてないよ」 彼女は出かけていった。 僕は仕事へ行った。